近年、地震・噴火・洪水などの災害発生の危険性は、世界的規模で高まっています。災害発生の際、人々の生命・財産をはじめ生活に直接関わるアーカイブズ(文書・記録類)を確実に保全することは、被災リスクを減らす不可欠な要件です。
本プロジェクトは、代表者らが東日本大震災の被災公文書に対するレスキュー活動で新たに考案した紙資料保存技術を、国際研究交流を通じて世界各地で実践できる方法として共有化し、発信・普及していくことを目的としています。
代表者らは、身近な素材を用いてスピーディーに記録類を劣化から守り、再生へと導く方法を考案し、被災地での実践を通じて多くの観察・測定データを取得しました。本プロジェクトでは、①蓄積されたデータの解析・考察を行い、新たな保存技術の実効性について検証する、②過去に噴火や洪水被害を体験したイタリアでワークショップを開催し、意見交換を通じて新知見を加え、国際的観点をふまえた新技術の方法論を確立させる、③得られた成果を市民参加型国際交流集会やホームページを利用して広く発信する、という3つの活動により、災害発生時に世界の誰もが新たな紙資料レスキュー方法へとアクセスできる環境を整備することを目指しています。